かえりたい。月満ちる宵、桜のもとに。
「西へ行け」
痛みを背負い、旅する一人の僧。
海の底、断崖の上、夕陽の中・・・
どこに行っても、この世界に相容れない「異界」のものと出会う。
哀しみ、怒り、諦め。そして、透明な瞳。
明るい山里の祭り。山の神と交わる人々の笑い声。
僧の脳裡に、大切な人を捨てた過去が蘇る。
「あの世」はどこにあるのか?
本当は、「この世」に力を送る源なのではないか?
旅の終わりに待っていたのは、燦爛たる、春の錦 —。
花は紅、柳はみどり。命はじける、宝玉の時。
「痛みを力に、生まれ変わろう」